ドイツ語のdrunter・drübenの意味とは?英語の“there”で考える「場所の副詞」解説

前置詞

ドイツ語の会話の中で出てくる drunter や drüben という言葉。

教科書によっては説明もなしでサラッと登場していたりしますが、この記事で意味や使い方をはっきりさせましょう!

ズバリ、これらの単語は一言で言えば、英語の “there”(そこ・あそこ) をもっと便利にした、「場所のショートカット機能」です。

今回は、なぜドイツ語にこの言葉が存在するのかという理由と、日常会話で今すぐ使える10語をすっきりと解説します。

1. 英語の “there” の進化系。「da」+ 場所の前置詞

私たちが日本語で会話するとき、同じ名詞を何度も繰り返すのは面倒ですよね。

「机の上にペンがあるよ。机の下にノートもあるよ」

これだと少し回りくどいので、普通は「その下に」と言い換えるはずです。ドイツ語の drunter や drüben も、これと全く同じ動機(ショートカット)から生まれています。

英語の場合、”there”(そこ)を使って under there(そこの下)や over there(あっちの向こう)のように2語に分けて表現します。

一方、ドイツ語はこれを1つの単語に合体して進化させました。
仕組みは非常にシンプルです。

「da-(そこ)」 + 「位置を表す前置詞(下・中など)」

たったこれだけで、1語で劇的に詳しい場所を指定できるようになります。

💡 知っておくべき、合体の「2つのルール」
このショートカットを作るとき、形が少し変化するルールが2つだけあります。

 ルール①:前置詞が「母音」で始まるなら【r】を挟む
後ろにくっつく前置詞が 母音(a, e, i, o, u) から始まる場合、発音をスムーズにするために、daの直後に ⁠r⁠ を挟んで ⁠dar-⁠ に変形させます。

⁠da⁠ + ⁠unter⁠ (下) = darunter (その下に)
da⁠ + ⁠auf⁠ (上) = darauf (その上に)

 ルール②:日常会話ではさらに縮む
ルール①で ⁠dar-⁠ になったものは、ネイティブが早口で喋るときに最初の ⁠a⁠ が消えてさらに縮みます。

darunter = drunter
darauf = drauf

※教科書には正式な ⁠darunter⁠ などで載っていますが、リアルな日常会話や街中では、この縮んだ形(drunter / drauf)を圧倒的によく耳にします。

2. 日常会話で頻出する「場所のスマートな言い換え」10選

A2レベルの日常会話、そして試験の「絵の描写問題」などで特によく耳にする、10の言葉を、位置関係ごとに整理して見ていきましょう。

── 上・下・前・後のショートカット(4選)

まずは、基準となるモノに対して「どの位置か」を1語で指定するグループです。

① drunter (darunter): 「そこの下に」

「そこ(da)」+「〜の下に(unter)」が組み合わさった形です。
※本来は darunter ですが、口語では日常的に drunter と縮めて使われます。

  • 例文: Auf dem Tisch liegt ein Buch. Drunter liegt ein Kuli.
    (テーブルの上に本がある。その下にペンがあるよ。)

② drauf (darauf): 「そこの上に」

「 there + on / up 」のイメージ。机や棚などの「表面の上」を指します。

  • 例文: Wo ist mein Schlüssel? — Auf dem Tisch? Ja, drauf!
    (鍵はどこ? — 机の上? うん、その上だよ!)

③ davor: 「その前に」

「 there + in front of 」のイメージ。建物の前や、何かの手前のスペースを指します。

  • 例文: Das Kino ist hier. Wir treffen uns davor.
    (映画館はここです。私たちはその前で待ち合わせします。)

④ dahinter: 「そのろ(後ろ)に」

「 there + behind 」のイメージ。障害物の影や、建物の裏側を指します。

  • 例文: Das Rathaus ist groß. Dahinter ist ein Park.
    (市役所は大きいです。そのろに公園があります。)

── 中・外・向こう側のショートカット(4選)

空間の「内と外」、あるいは「境界線を越えた向こう側」を指すグループです。

⑤ drüben: 「あっちの向こうに / 反対側に」

道、川、部屋の境界などを挟んだ向こう側を、指をさして「あっち」と言うときの定番表現です。英語の over there に最も近い感覚です。

  • 例文: Wo ist der Bahnhof? — Auf der anderen Straßenseite, gleich drüben.
    (駅はどこですか? — 通りの反対側、すぐあっち側だよ。)

⑥ drinnen: 「そこの中に / 屋内で」

建物や部屋、乗り物の「中」を指します。「そこ(da)」+「中(innen)」のイメージです。

  • 例文: Draußen ist es kalt. Gehen wir nach drinnen.
    (外は寒いね。に入ろう。)

⑦ draußen: 「そこの外に / 屋外で」

建物の「外」、あるいは開放的な屋外を指します。「そこ(da)」+「外(außen)」のイメージです。

  • 例文: Die Kinder spielen draußen im Garten.
    (子供たちは外の庭で遊んでいるよ。)

⑧ daneben: 「その横に / 隣に」

「 there + next to 」のイメージ。何かのすぐ隣、すぐ脇のスペースを指します。

  • 例文: Hier steht mein Bett, und daneben ist der Schrank.
    (ここに私のベッドがあって、その横にクローゼットがあります。)

── 上の階・下の階のショートカット(2選)

アパートや一軒家など、縦の空間(階層)を行き来するときにネイティブが連発する2つです。

⑨ droben (daroben): 「上の階で / 上の方で」

「 up there 」のイメージ。2階や、山・階段の上などを指します。

  • 例文: Wo ist Papa? — Er ist droben im Schlafzimmer.
    (パパはどこ? — 上の階の寝室にいるよ。)

    ※日常会話(特に南ドイツ地方)でよく使われます。普通に oben や da oben と言うことも多いですが、上の階を指差して「あそこの上で!」と強調したいときに登場します。

⑩ drunten (darunten): 「下の階で / 下の方で」

「 down there 」のイメージ。1階や地下、階段の下などを指します。

例文: Meine Wohnung ist im 3. Stock. Oma wohnt drunten im Erdgeschoss.
(私の部屋は3階です。おばあちゃんは下の階の1階(地上階)に住んでいます。)

3. 地図での道案内や日常会話

この10個の言葉が1番の威力を発揮するのは、日常の会話や、地図を見ながら「道を教える・場所を教える」という実践的なシーンです。

この言い換えを使えば、相手に見せている地図や、目の前の景色を指さしながら、驚くほどシンプルに道案内ができます。

  • 「駅はどこ?」と聞かれて:
    「あそこにあるスーパーの、davor(その前)だよ!」
    Wo ist der Bahnhof? — Der ist direkt davor!
  • 「おすすめのカフェは?」と聞かれて:
    「この通りをまっすぐ行くと大きい教会があるから、dahinter(その裏)だよ!」
    Geh geradeaus bis zur Kirche. Das Cafe ist direkt dahinter!
  • 「私の部屋は3階だよ」と言われて:
    「じゃあ、私はdroben(上の階)で待ってるね!」
    Ich wohne im 3. Stock. — Okay, dann warte ich droben auf dich!

このように、お互いに見えている「共通の場所」があるなら、名詞を何度も言わずに daneben(その横)drüben(あっち側) で繋いだ方が、圧倒的にネイティブっぽく、かつスムーズに会話が成立します。

日常会話や道案内でネイティブがこの言葉を連発してくるのは、頭の中に「共通の地図」がある状態で、一番ラクに場所を伝えるための自然な知恵だからです。

まとめ:まずは「前置詞の感覚」から

今回紹介した drunter(darunter)などの言葉は、机の上で丸暗記するものではありません。目の前の空間を捉える「感覚」の言葉です。

そのため、これらをスムーズに使いこなすための第一歩は、ベースになっている「後ろにくっついている前置詞(unter や auf など)が持つ本来のイメージ」をしっかり身体に染み込ませることです。

前置詞が持つ「下」や「上」といったコアな感覚さえ掴めてしまえば、あとは日頃のリスニングや読解で見聞きしているうちに、自然と自分でも使えるようになっていきます。

まずは、すべての土台となる「ドイツ語の前置詞のイメージ」から整理していきましょう。

👉 [イラストイメージで覚える9つの場所の前置詞]


さらにステップアップ!このショートカットは「動詞」でも使える?

この記事では、「その下に(drunter)」「あっちの向こうに(drüben)」といった【場所・位置】のスマートな言い換えを解説しました。

実は、ドイツ語にはこれとまったく同じ仕組み(da + 前置詞)を使って、日常会話のめんどくさい名詞を丸ごとショートカットする文法があります。

それが、sich freuen auf...(〜を楽しみにする)
のような【動詞+前置詞】とセットで使う「da- / wo-」の表現です!

ぜひこちらの記事もあわせて読んでみてください。日常会話で「何を?」「それに!」と一言でスマートに返せるようになりますよ!

darauf/worüber? ドイツ語の「da・wo+前置詞」の基本3選と再帰動詞の文法解説