ドイツ語の否定文では、主に nicht と kein を使います。
- nicht: 動詞の行為、形容詞、副詞などを否定する。また、定冠詞付きの名詞を否定する場合にも使う。
- kein: 不定冠詞付きの名詞や、冠詞のない名詞を否定する。
1. nicht と kein の使い分け
基本的に、名詞はkein、それ以外はnicht、と覚えましょう。
ただし、定冠詞(der / die / das など)のついた名詞を否定するときは、kein ではなく nicht を使います。
| 名詞の種類 | 否定に使う語 | 例 |
|---|---|---|
| 定冠詞付き(der / die / das など) | nicht | Ich kaufe das Buch nicht.h |
| 不定冠詞付き(ein / eine など) | kein | Ich kaufe kein Buch. |
| 冠詞なし | kein | Ich trinke keinen Kaffee. |
名詞以外を否定するときは、基本的に nicht を使います。
- Das ist nicht gut.(それは良くありません)
- Ich komme heute nicht.(私は今日来ません)
kein は名詞を否定する語なので、性・数・格に合わせて変化します。
不定冠詞類のein,meinなどと同じ語尾変化をしますので確認しておきましょう!
不定冠詞類の変化表
| 格 | 男性(m) | 女性(f) | 中性(n) | 複数(Pl.) |
|---|---|---|---|---|
| 1格(Nominativ) | kein | keine | kein | keine |
| 2格(Genitiv) | keines | keiner | keines | keiner |
| 3格(Dativ) | keinem | keiner | keinem | keinen |
| 4格(Akkusativ) | keinen | keine | kein | keine |
2. nicht の位置
次に混乱しやすい、nichtの位置を見ていきましょう。
nicht は、何を否定したいかによって位置が変わります。
① 特定の語句を否定する場合:否定する語句の前
形容詞・副詞や前置詞句を否定するときは、否定したい語句の直前に nicht を置きます。
- Das ist nicht gut.(それは良くありません)
- Er fährt nicht schnell.(彼は速く運転しません)
- Ich fahre nicht mit dem Bus, sondern mit dem Zug.(バスではなく、電車で行きます)
② 文全体の行為(動詞)を否定する場合:文末が基本
- Ich arbeite nicht.(私は働いていません)
- Ich komme heute nicht.(私は今日来ません)
- Ich kaufe das Buch nicht.(私はその本を買いません)
ただし、助動詞や分離動詞がある場合は語順が変わります。
- Ich kann heute nicht kommen.(私は今日来られません)
- Ich stehe morgen nicht auf.(私は明日起きません)
3. 混乱しやすいポイント:kein と nicht の比較
同じ Fleisch(肉)を使って比較してみましょう。
Ich esse kein Fleisch.
私は肉を食べません。
→ 冠詞のない名詞 Fleisch を否定しているので、kein を使います。ベジタリアンであるなどの理由で肉という食べ物全般を食べない、という意味です。
Ich esse das Fleisch nicht.
私はその肉を食べません。
→ 定冠詞 das が付いているので、nicht を使います。”その肉”を食べない、という意味です。(満腹である、や味付けの好みや種類などの理由)
このように、名詞を否定するときは、冠詞の種類によって kein と nicht を使い分けます。
- 名詞そのものを否定する(〜を持っていない、〜をしない)→ kein
- 特定のものや行為を否定する → nicht
もう一つ、比較してみましょう。
- Ich habe kein Auto.(私は車を持っていません)
- Ich kaufe das Auto nicht.(私はその車を買いません)
前者は不定冠詞付きの名詞を否定するため kein、後者は定冠詞付きの名詞を含む文の行為を否定するため nicht を使っています。
ミニ練習
では、次の2つの文をドイツ語にしてみましょう。
① 私はその本を買いません。
② 私は本を買いません。
解答・解説
① Ich kaufe das Buch nicht.
私はその本を買いません。
→ das Buch(その本) のように定冠詞が付いている場合は、kein ではなく nicht を使います。文全体の行為「買う」を否定するため、nicht は文末に置きます。
「その本」を買わないという意味で、ほかの本なら買う可能性があります。
② Ich kaufe kein Buch.
私は本を買いません。
→ 特定の本ではなく、名詞 Buch(本)そのものを否定するため、kein を使います。
この文脈では、本全般を買わないという意味です。例えば、本を買う習慣がない場合や、本よりタブレットで読むことを好む場合などに使えます。
まとめ
ドイツ語の否定文は、一見複雑ですがルールはとてもシンプルです。
頭で考えるよりも、今回ご紹介した「Ich esse kein Fleisch. / Ich esse das Fleisch nicht.」のような短い例文をセットで何度も声に出して、リズムで覚えてしまうのが一番の近道です!
ぜひ今日から意識して使ってみてくださいね。

