受動態とは、一言でいうと「〇〇が(誰かに)〜される」という言い方のこと。
「ケーキが食べられる」「ドアが修理される」といった表現ですが、
実はドイツ語の受動態はたった1つの基本のカタチさえ覚えてしまえば、驚くほどシンプルに作ることができます。
今回は、難しい文法用語をできるだけ使わず、初心者の方がパッと仕組みを理解できるように3つのステップでスッキリ解説します!
⚠️ 最初に知っておきたい!日本語とドイツ語の「受動態」の大きなギャップ
具体的な仕組みに入る前に、1つ頭に入れておいてほしい重要な感覚があります。
それは、「日本語は受動態(〜される)をよく使うけれど、ドイツ語はできるだけ受動態を使いたくない言語である」ということです。
私たちは普段、無意識のうちに以下のような受動態をたくさん使っています。
- 「(雨に)降られた」
- 「(先生に)褒められた」
- 「(友達に)言われた」
しかし、ドイツ語でこれらをそのまま直訳して受動態(werden + 過去分詞)にしようとすると、ドイツ人からすれば「なんでそんなまわりくどい言い方をするの?」と、不自然に聞こえてしまうんです。
ドイツ語は「誰がやったか」をハキハキ言いたい言語
ドイツ語は、「誰がそのアクションを起こしたのか(主語)」をハッキリさせて、普通の文(能動態)で話す方(例:『先生が私を褒めた』『友達が私に言った』)が圧倒的に好まれる言語です。
じゃあ、どんな時にドイツ語の受動態を使うのかというと、主に以下の2つのパターンだけです。
1. 「誰がやったか」が本当にどうでもいい時・分からない時
(例:この家は1990年に建てられた = 誰が大工さんかは重要じゃない)
2. 「された物や事」を主役にして目立たせたい時
(例:泥棒によって財布が盗まれた = 財布がなくなったことを強調したい)
「日本語の『〜される』をそのまま直訳してはいけない」というこの基本ルールを頭の片隅に置いた上で、いよいよ次のステップから、ドイツ語の受動態のシンプルな作り方を見ていきましょう!
ステップ1:受動態の基本は「werden + 過去分詞」
ドイツ語で「〜される」を作るとき、主役になるのは werden(〜になる) という動詞です。
基本のカタチはこれだけです。
werdenは不規則変化の動詞です。変化表は少し下にスクロールしてもらうとあります。↓
【基本のカタチ】
主語 + werden(主語に合わせて変化) + 〜 + 過去分詞(文末)
文の組み立て方は、ドイツ語は「過去分詞が必ず一番最後(文末)にジャンプする」という強いルールがあります。(過去分詞を使いますが、werdenが現在系の時は現在形です。)
実際に作ってみよう!
「ケーキを食べる」という普通の文(能動文)を、「ケーキが食べられる」という受動態に変えてみましょう。
▶️ 普通の文: Ich esse den Kuchen.(私はそのケーキを食べる。)
▶️ 受動態: Der Kuchen wird gegessen.(そのケーキは食べられる。)
💡 変わったポイントは3つだけ!
1. 普通の文の「〜を(4格:den Kuchen)」が、受動態の主語「〜は(1格:Der Kuchen)」に変身する。
2. 2番目の位置に、主語(三人称単数)に合わせた wird を置く。
3. 動詞(essen)を過去分詞(gegessen)にして、文の末尾に置く。
もし「誰によって」と言いたいときは、真ん中に von + 3格 を挟むだけでOKです。
(例:Der Kuchen wird von mir gegessen. = そのケーキは私によって食べられる。)
| 主語 | 現在形(〜される) | 過去形(〜された) |
| ich(私) | werde | wurde |
| du(君) | wirst | wurdest |
| er / sie / es(彼/彼女/それ) | wird | wurde |
| wir(私たち) | werden | wurden |
| ihr(君たち) | werdet | wurdet |
| sie / Sie(彼ら/あなた) | werden | wurden |
ステップ2:「された(過去形)」にする場合
基本の形がわかったら、日常会話でよく使う過去形の2つのバリエーションを押さえましょう。
「今日手術される」ではなく「昨日手術された」と言いたいときは、werden を過去形の wurde に変えるだけです。過去分詞の位置は変わりません。
▶️ 現在: Der Student wird heute operiert.(その学生は今日手術される。)
▶️ 過去: Der Student wurde gestern operiert.(その学生は昨日手術された。)
基本の形の wird を wurde にカチッとスライドさせるだけなので、とても簡単ですね!
⚠️ 【よくある疑問】「〜された」は、完了形じゃなくていいの?
「日常会話で過去の話をするときは、過去形ではなく『現在完了形』を使う」という原則は?と思われる方もいると思います。
もちろん、受動態にも完了形(Der Kuchen ist gegessen worden.(ケーキは食べられてしまった)は存在しますし、知識として知っておく必要はあります。
ですが、ドイツ語では、助動詞(müssen など)や sein、そしてこの受動態の werden に関しては、日常会話であっても完了形ではなく「過去形(wurde)」を使うのが自然であるというルールがあります。
受動態の完了形は形が複雑なため、まずはこのシンプルでネイティブもよく使う wurde(過去形)の形を確実にマスターするのがおすすめです。これでA2試験の過去の表現はカバーできます。
💡 日常会話でよく使う「〜された」の例:
- Mein Auto wurde gestohlen.(私の車が盗まれた。)
- Ich wurde gestern eingeladen.(私は昨日、招待された = 誘われた。)
ステップ3:「〜されなければならない(助動詞プラス)」の語順ルール
最後に、実際の会話や街中の看板でめちゃくちゃよく見かける「助動詞(müssen や können など)」が合体したパターンです。
一見複雑そうに見えますが、これも語順のパズルです。
【助動詞が入るときのカタチ】
主語 + 助動詞 + 〜 + 過去分詞 + werden(動詞の原形)
助動詞が2番目の位置を乗っ取るため、押し出された werden は原形(元の形)に戻って、過去分詞の後ろ(一番最後)にくっつきます。
▶️ 助動詞なし: Diese Dosen werden geöffnet.(この缶は開けられる。)
▶️ 助動詞あり: Diese Dosen müssen geöffnet werden.(この缶は開けられなければならない = 開けてください。)
💡 街の看板や日常でよく見る「助動詞プラス」の例:
- Hier darf nicht geraucht werden.(ここではタバコを吸ってはならない = 禁煙。)
- Das Problem kann gelöst werden.(その問題は解決され得る = 解決できます。)
ミニ練習(全5問)
解説を読んで頭ですっきり理解できたら、最後に少しだけ手を動かしてアウトプットしてみましょう。
- その家は建てられる。
Das Haus ( ) gebaut. - その家は1990年に建てられた。
Das Haus ( ) 1990 gebaut. - その手紙は書かれる。
( ) wird geschrieben. - 私たちは昨日、車で迎えに来てもらった。
Wir ( ) gestern abgeholt. - このゴミは分別されなければならない。
Der Müll muss getrennt ( ).
🔍 正解
- wird (三人称単数の主語に合わせる)
- wurde (過去形にするだけ!)
- Der Brief (元の4格「〜を」が、主語の1格に変身)
- wurden(過去の出来事なので wurde を使いますが、主語が「私たち(wir)」なので複数形の wurden に変化します)
- werden (助動詞に押し出されて、一番後ろで原形に戻る)
まとめ
ドイツ語の受動態を攻略するためのポイントをまとめます。
1. 基本は「werden + 過去分詞(文末)」
まずはこの現在形の形を体に染み込ませること。
2. 「〜された」は werden を wurde に変えるだけ
過去の話をするときも、お尻の過去分詞のポジションは変わりません。
3. 助動詞が入ったら「過去分詞 + werden」が末尾でセット
どれだけ文が長くなっても、お尻は必ずこの形になります。
まずはこの3つの基本の骨組み(パズル)をしっかりとマスターしてくださいね!
werdenの用法や形はさまざまです。一つ一つ分けて学んで混乱しないようにしましょう!
次回は、この基本を押さえた上で、長文読解でさらに差がつく「中級バージョン(状態受動など)」の仕組みを分かりやすく解説します。お楽しみに!
werdenの使い方をマスターした方はこちらで総復習できます。



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